ツバメのねぐら

2017年7月29日

以前に描いたものですが、雰囲気が伝わるかと。

毎年8月が近づくと、ツバメが気になります。
鳥のことは全く詳しくない私ですが、以前、ツバメのねぐらの観察会というのに参加したことがあって、この時期にツバメは一所に集まってしばらく一緒に暮らし、その後南の国に旅立って行くことを知りました。
 ツバメは、春先に民家の軒下などに巣を作り、小さい雛たちが顔を出している様子をよく目にします。ツバメは渡り鳥で春から夏にかけて日本で暮らすのですが、雛は巣立った後エサをしっかり食べて成長し、秋の渡りのための準備をします。巣立ってから旅立つまでの間、成鳥も含めて夜に集団で集まって休むためのねぐらがあるのです。
 宇治川にかかる観月橋近くの河川敷の葦原はこの地域では最大級のねぐらがあって、ツバメたちが遠くは大阪、奈良、滋賀からも集まって来るそうです。西の山に日が沈むと、ありとあらゆる方向からツバメが集まってきます。高いところ、低いところ、最後は木の葉が舞うように落ちて葦の原に姿を消します。
 
 視界が開けていて空が広く見える河川敷では、ずっと空を見ていると自分自身も空の一部になっているように感じます。徐々に暮れてゆき色が変化してゆく茜色の空とツバメの群れはとても美しくて、今でも忘れられない景色です。
 すごい数のツバメが集まるようですが、その数は年々少なくなっていると言います。「宇治のつばめ 昔と今 (京都宇治はやぶさ隊)」によると、まず葦原が減少していること、温暖化の影響によりエサとなる昆虫が減少していることが原因として考えられるそうです。また、巣をつくることのできる建物が少なくなっており、土や藁など巣をつくる材料も少なくなっていることや、さらに以前はツバメは縁起が良いと大事にされていたのですが、衛生面などからツバメに巣をつくられることが敬遠されることもあるようで、ツバメが巣作りし、暮らしていく環境が大きく変化してきていることも理由であると考えられるようです。天敵であるカラスの増加も影響しているということでした。
 ツバメは長い間人と仲良く共存してきて、とても身近に感じられる生き物なので、ツバメが減っているというのはさびしいです。これからも、あの、美しくダイナミックなツバメのねぐら入りの情景が消えてしまわないことを願っています。

Follow me!

☆この記事をシェアする☆

シェアしていただけると励みになります

カテゴリー

草木染めの魔法つかい®

草木染めの魔法つかい®

草木染めの魔法つかい®

染・織・描【草木の色と水の彩】中の人

ネットショップ【ハンサムなマフラーの店】店主

母親が染織家で幼いころより草木染めや手織りが生活の中にありました。今は母に習いながら、自分も草木染めや手織り、糸紡ぎなどにはまる日々です。

母に巻き込まれながら蓄積してきた、染織まわりのいろいろなことについて発信中。ちょっととっつきにくいイメージの草木染めや手織りを、身近に感じてもらって、楽しんでいただきたいと思っています。

染織&縫製・デザイン・イラスト・販売その他担当。

猫好き。

草木の色と水の彩(くさきのいろとみずのいろ)は、草木染などで自然の色を扱う人=「草木の色」と、水彩で絵を描く人=「水の彩(いろ)」が一緒に作るお店という意味を込めた屋号です。

糸紡ぎの実演などの場で、物語みたいとか魔法みたいと言われることと、染織の様子を改めて見ると確かに魔法使いみたいと思ったことから、【草木染の魔法使い®】を肩書に。物語のように楽しんでいただけたら嬉しいです。

関連記事

Top PAGE TOP