新たな出会い。紺屋さんを求めて。

2018年11月12日

滋賀県湖南市にある紺喜染織さん。江戸時代中期の明和年間(約200年前)から紺染業を営んでおられます。

突然訪ねて行ったにもかかわらず、藍染の工房を見せてくださいました。

藍の畑の写真や、ドライフラワーのように乾燥させた植物の藍、升に入っているのはすりつぶされた藍、そして糸車に乗せられているのは藍玉。この大きな臼で藍をすりつぶします。いろいろと説明もお聞きすることができました。

「藍染めをしてくれるところが無くなってねえ」
母の口から時々出てくる言葉です。
 一時期、母はよく藍染めの糸から布を織っていました。なので、藍の青は我が家ではとてもなじみのある色です。コースターやランチョンマット、テーブルセンター、床に敷くマットなど、大小さまざまな敷物類、袋やブックカバーのための縞模様の布、着物を織ることもありました。
 作品展やイベントなどで、見ていただいたり販売する際にも藍色のものは好評で、ブックカバーなどは人気の柄はほぼ品切れ状態です。同じ布が残っていたら作れるのですが、残っていないものは再販のめどはありません。
 というのも、糸を染めてくれる紺屋さんが少なくなっているのです。以前母が頼んでいた紺屋さんは、一つは職人さんがいなくなって、市が伝統文化の保存のためにご子息に藍瓶の維持をお願いしているそうで、あまり細かい注文は受けていないということでした。又、もうひとつは、ある時母が訪ねて行くと空の藍瓶が残っているだけで、すでに廃業された後だったそうです。
 昔は、機織りをする人が多く、日常の暮らしで使うものは自宅で布を織って作っていたので、紺屋さんはとても身近な存在でした。時代の移り変わりとともに市販の布製品を買い求めることが普通になり、自宅で織物をする人も激減しました。藍染めの製品を作っている会社などはたくさんあると思いますが、家庭のレベルで(大量生産でない、個人が作る量のレベルで)気軽にお願いできる紺屋さんは少なくなってしまっている現状があるようです。頼めたとしても、染めてもらう費用との兼ね合いもあります。もしも新たに糸を染めてもらって作品を作るとしたら、以前と同じ価格で販売することは難しくなるかもしれません。
 それでも、母もまた藍染めの布を織りたいと思っているし、私も、できれば母の織るような藍の布が織れるようになりたいので、うちの藍染めの糸のストックが無くなる前に紺屋さんを探しに行ってみようということに。母はこの春に関東から関西に移ってきたばかりなので、染織超初心者の私と共に伝手のない探索です。
 少し前から、近場で行けそうな藍染め屋さんを気にかけており、先日やっと、そのなかでも一番気になっていた昔ながらの紺屋さん、滋賀県湖南市にある「紺喜染織」さんを訪ねました。その日、入口に暖簾がかかっていなかったので、お休みかなあと中を覗き込んでいたところご主人がこちらに気づいてくださって、突然訪ねたにもかかわらず、奥の藍の瓶のある工房の方まで見学させていただくことができました。
 藍染めの工程など、再度確認してから、またその時の様子など改めてお伝えしたいと思います。

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草木染めの魔法つかい®

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染・織・描【草木の色と水の彩】中の人

ネットショップ【ハンサムなマフラーの店】店主

母親が染織家で幼いころより草木染めや手織りが生活の中にありました。今は母に習いながら、自分も草木染めや手織り、糸紡ぎなどにはまる日々です。

母に巻き込まれながら蓄積してきた、染織まわりのいろいろなことについて発信中。ちょっととっつきにくいイメージの草木染めや手織りを、身近に感じてもらって、楽しんでいただきたいと思っています。

染織&縫製・デザイン・イラスト・販売その他担当。

猫好き。

草木の色と水の彩(くさきのいろとみずのいろ)は、草木染などで自然の色を扱う人=「草木の色」と、水彩で絵を描く人=「水の彩(いろ)」が一緒に作るお店という意味を込めた屋号です。

糸紡ぎの実演などの場で、物語みたいとか魔法みたいと言われることと、染織の様子を改めて見ると確かに魔法使いみたいと思ったことから、【草木染の魔法使い®】を肩書に。物語のように楽しんでいただけたら嬉しいです。

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