棉の実(コットンボール)を楽しもう②糸紡ぎ

棉の実(コットンボール)を楽しもう②糸紡ぎ

2020年4月5日

ー種を取った綿から糸を紡ぐ方法を紹介します。

「棉の実(コットンボール)を楽しもう」第一弾で家で育てた棉の実の楽しみ方をいくつか紹介しました。今回は種を取った後の綿から糸を紡ぐ方法を紹介したいと思います。
 
 家で栽培した綿の、ほんの少しの収穫を利用する方法の一例ではありますが、綿であれば、手芸用の綿でも、布団やクッションに入っているものでも同じです。化学繊維の綿もあるのですが、またきっと勝手が違うと思うので、植物の「綿」でやってみてください。

 糸紡ぎ専用の道具にはいろいろなタイプがあるのですが、家で、手に入りやすい材料で、簡単に作れる形の道具の作り方、使い方、紡いだ糸の使い道などいくつかお伝えしていきます。

1.糸紡ぎの道具の作り方

 たくさん紡ぐときにはこのような道具があると便利です。ハンドルを回すと回転が先端についている細い金属の棒(つむ)に伝わり、つむが回転しながら綿から繊維を引き出すことで繊維に撚り=ねじれがかかり糸になっていきます。これは木綿から糸を紡ぐ道具です。羊毛用のものはまた少し形が違います。昔は各自の体のサイズに合わせて道具を手作りしていたそうです。原理は同じですが、地域によって、また各家庭によって様々なタイプがあるようです。機織りの道具を扱っているお店などでも購入することができます。大きいですし価格もそれなりに高価ですが、本格的にたくさん紡ぐ方はこちらがお勧めです。仕組みはシンプルなので、その気になれば工夫次第で自作できると思います。今回はより簡単な糸紡ぎ機の作り方を紹介します。
このようなコマ型の道具は、100円ショップやホームセンターなどで購入できる材料で、自分でも作ることができます。真ん中の棒の回転が綿の繊維に伝わり、綿の繊維を引き出しながら撚り合すことで糸になっていきます。糸ができる原理は上の大きな道具と同じです。

①コマ型糸紡ぎ機の材料

 材料は、上の写真のもの(コースター・丸竹箸・ヒートン)です。身近な材料で作ることができるように、100円ショップやホームセンターで揃えられるもので考えました。
 コースターは、コルクのものが加工しやすいので選びました。あまりペラペラのものではなく、ある程度厚みがあるほうが良いです。もちろんほかの材料でも大丈夫です。
 今の時期は、外出を控えなくてはいけないため、材料を買いに出られない方もいらっしゃると思います。割りばしや段ボール・厚紙などが家にあればそれでも作れます。その場合は段ボールに直径6~10㎝の円を描き、切り抜きます。円盤の一か所に切れ込みと、中心に割りばしなど棒の入る穴をあけ、棒を差し込みます。あとはコースターと同じです。
 木材など、硬い材料で作るとより丈夫で長持ちすると思います。(穴をあけるのがコルクに比べるとちょっと大変です。)

 棒だけだと、くるくる回すのが大変なのです。コマのように円盤がついていることによって格段に回しやすくなります。
 

②コースターの中心に箸の入る穴をあける。

 コースターの中心を決めるために、型紙を作ります。紙にコースターを置き、コースターを型にして紙に円を描きます。紙に描いた円を切り取り4つ折りにします。折線の交点が中心なので、コースターに型紙を重ねて中心に目打ちやキリを使って穴をあけます。目打ちやキリを使うときにはとがった先端に気を付けてください。

③コースターに一か所切れ込みを入れる。

 コースターに1か所、ハサミやカッターなどを使って5mmくらいの切り込みを入れます。糸を紡ぐときに、糸をひっかけるためのものです。

④あけたコースターの穴に丸竹箸を通す。

 コースターの中心に開けた穴に丸竹箸を通します。先の細くなったほうが長くなるように、コースターを挟んで箸の太い方が上に2~3㎝くらい残るようにストップします。

⑤ヒートンを取り付けます。

 箸の先端に、キリでヒートンを挿すための穴をあけます。穴をあけておかないとヒートンを挿すときに箸が割れてしまいます。穴はなるべく中心にあけます。あまり深くなくても大丈夫です。

 ヒートンは先の丸い部分をペンチを使って少し開いておきます。最初から開いた形の金具を使うときにはそのままで大丈夫です。

 先程開けた先端の穴にヒートンをねじ込みます。手で回せないときにはペンチを使って回していきます。無理やり回すと箸が割れてしまうので、回りにくい時には一度外してもう一度キリで穴を深くしてください。

ボンドで箸を固定する

 ヒートンの口の空いてない側にコースターの切れ込みが来るように棒の向きを調整する。位置が決まったら、木工用ボンドや接着剤で棒の根元を固めます。

 横に寝かすと形がゆがむので、コップなどに載せて、コースターに箸が垂直に立つように保ちながら、ボンドが乾いて固定されるまで置いておきます。

2.作った糸紡ぎ機で糸を紡ぐ方法。

①糸紡ぎ機の長い方の軸に糸を結び付ける。

 最初から綿を紡いだ糸で始める方法もありますが、少し難しいので、よりやりやすい方法として、糸紡ぎ機にあらかじめ糸を付けてそこから始める方法をお勧めします。
 まず長い軸に30㎝くらいの長さの糸を結びつけます。これから紡ぎたい糸の太さに近い糸を用意してください。そのほうが紡ぎやすいと思います。左の写真のように棒の長い方に結び付けた糸を、右の写真のように円盤に入れた切り込みにかけ、さらに上のヒートンにひっかけます。ヒートンから10㎝くらい出る長さがあれば十分です。

 最初から綿を使って紡ぐ場合の方法も一応載せておきます。

〇綿の端をつまんで、ほわほわの繊維を少し引き出します。

〇引き出した繊維をねじりながら糸状にして10㎝くらいまで伸ばします。綿の方を回すと糸に回転をかけやすいです。

〇引き出した糸の端を糸つむぎ機の先の金具に巻きつけ、左手で綿、右手で長い方の棒の部分を持って回転させながら、さらに糸を引き出していきます。

②糸に綿の繊維を絡ませて、回転をかけながら引き出していく。

 綿の上に糸紡ぎ機につけた糸の先を3~5㎝くらい重ねて置きます。その上から親指でそっと糸を押さえます。

 コマ=糸紡ぎ機の軸を持ってくるくると回します。綿の上に置いた糸に回転がかかって綿の繊維が絡んできます。綿の繊維が絡み始めたことを確認したら、コマを回しながらやさしく引っ張り、繊維に回転をかけながら糸状に長くしていきます。綿を持つ指に力が入らないようにしましょう。強く押さえると繊維が出ていくのを邪魔してしまいます。糸の回転が綿に伝われば自然と繊維を巻き込んでのびてゆきます。糸になろうとする様子を見ながら、コマの回転と引っ張り具合を調節してください。徐々に糸が長くなっていきます。

★上の写真の綿は、棉の実の種を取った後、綿打ちをして繊維をほぐし、繊維の向きをそろえて平らにして、そのあと糸紡ぎ用に丸めたものです。繊維がそろっているので糸の出がスムーズで太さも一定になりやすいです。ただ、綿打ちはある程度の量がないとやりにくいので、家でプランターで育てているくらいの量であれば、そのまま紡いでみたらいいのではないかと思います。ちょっと太いところと細いところができやすいですが、味のある糸になると思います。逆に、かなりの量があるのであれば、布団屋さんでも綿打ちをしていただけるところがあります。自宅で行う場合は綿打ち用の弓を使って綿の繊維をはじきながらほぐします。弓は織物の道具専門のお店で買えるところもあります。


上の写真の道具が綿打ち用の弓です。弦に綿をあてて弦をはじくことで綿の繊維をほぐしていきます。

③糸に撚りをかける

 糸がある程度の長さまで伸びたら、綿を上に持ってコマをぶら下げるように垂らし、空中でコマを回転させます。それまでかけていた回転と同じ向きに回してください。糸に回転をかけて繊維をねじることを「撚りをかける」といい、繊維がしっかりと絡まってほつれにくくなるので、丈夫な糸になります。

 撚りをかけたら、糸をいったんヒートンと円盤の切れ込みから外し、できた分を棒の下の長い部分に巻き取ります。そして、再び切れ込みとヒートンに糸をかけ、再度棒の長い部分を持って回転をかけながら引っ張り、綿から糸を引き出していきます。

 途中で糸が切れたら、最初と同じように糸になっている部分を綿の上に置き、そっと指で押さえてコマを回転させます。回転が綿に伝われば、そこから糸ができていきます。

④できた糸を煮る

 コマから糸を外して沸騰した湯でしばらく煮ます。煮ると糸が丈夫になり、糸として使用できるようになります。写真は大きな糸紡ぎ機で紡いだ糸で、あらかじめつむにストローをかぶせてそこに糸を巻き取るようにしています。そうすると、つむから外すときにストローが芯になって、巻いた糸の形が崩れにくいので便利です。

 昔は、藁を使っていたそうです。写真のものはプラスチックのストローですが、最近は紙製のストローの種類が増えてきたので、サイズが合うものがあれば紙製のものを使っていきたいです。煮沸する前は糸が弱く繊維がほどけやすいので、なるべくそのままの形で煮る工程に移るほうが良いと思います。

 煮た糸が冷めたら、かせを作ります。専用の道具がない場合は何でもよいので芯にして、大きな輪っか状に糸を巻き取っていきます。写真はお皿を立てるスタンドの周りに糸を巻き付けているところです。

 大きな輪っか状に糸を巻き取ったら、棒などに通して風通しの良いところで干します。なんか自然とねじれてしまうのですが、できるだけ広げてまっすぐにして干してください。

 完成!

 次回はできた糸を使って作れるものを紹介します。


 

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