良いものを大切に、長く使いたいと思います。
特に高価な買い物をするときにそのように思うことがありますが、逆に、気が付けば20年以上使っている、手放せないものがあったりすると、それが特別高価なものでなかったとしても、いいものを長く使うってこういうことかなと気づいたりします。
上の写真の右側のマフラーは、もう多分20年以上使っています。左側のものはまだ未使用のものなので、比べるとだいぶ色が落ちて貫禄が付いたことが分かります。
母が織ってくれたもので、肌触りがよくて軽くて、顔周りが明るく見える気がするので、重宝しています。そして、丈夫で、結構雑に扱っても大丈夫ですし、洗濯も気軽にできます。本当に色々含めて使い心地がよく、ついつい出番が多くなるのです。太めの糸なのでカジュアルにも使えるのですが、シルクなのできちんとした場面でも使えます。これは、私にとっては紛れもなく「長く使えるいいもの」です。
結構太い糸なのですが、シルクなので、柔らかく軽やかです。水引真綿という糸で、太いところと細いところがある趣のある糸なのですが、母がそれを購入した糸屋さんが廃業されたので、それ以来購入することができなくなってしまいました。今は手元にあるものを大事に使っています。今でも同じような糸を作っていらっしゃるところがあるのか、気になっています。昔作っていらしたところの住所を調べたのですが、今はなくなっているようなので。
良い材料が手に入らなくなるのは本当に残念です。
長いこと染織をやっている母や、交流がある方々からは、そのような話はよく耳にします。同じものが手に入らなくなった、作る人がいなくなった、廃業されたなどなど。できるなら、無くなってから残念がるのではなく、無くなる前に何かできるとよいのですが。
上記のあかね色のマフラーは、20年以上使ってもまだ全然使えそう。色落ちして貫禄が付いたものも良いのですが、茜でもう一度染めなおしてリフレッシュさせることもできます。
水引真綿のマフラーと共によく使っているのは、下の写真の藍染めのブルーと草木染めのベージュのチェック柄マフラーです。藍色が本当にきれいな色なので、まず色が好きなのと、藍は粋な色なのでキリっと粋に見える気がするのと、木綿であまり扱いに気を使わなくてよいところも使いやすいポイントです。真冬以外の3シーズン、本当にしょっちゅう使っています。
このシリーズのマフラーのポイントとなる藍染め。母がもともとお願いしていたところが廃業されたり、仕事を縮小されたり、さらには金額が以前よりも高くなったりと、こちらも継続してお願いできるところが少なくなってきているようです。
母は、以前、自宅で藍を育てて藍染めをしていたこともあるのですが、なかなか難しく、うまくいくときと行かない時があるようでした。今は、滋賀県で江戸時代から続く藍染屋さんにお願いしています。感動的にきれいな色で、このブルーを使って何か作れるということが嬉しくなるような色合いです。男の人に似合いそうといわれることから、ハンサムなマフラーの店の方向を決めたマフラーでもあります。
このマフラーをしていると、色がきれいとよく声をかけていただきます。ブルーもベージュも草木からいただいた色なので、とても相性が良いと思います。チェック柄はカジュアルな印象ですが、粋な藍色が男前に決めてくれる、ハンサムなスタイルのマフラーになっています。若い方には落ち着いた雰囲気に、年配の方は逆に若々しく。
こちらは特別な糸を使っているということではないのですが、コットン100%で気持ちよく使うことができます。
自分が長く、気持ちよく使っているものを、やっぱり一番にお勧めしたいですし、沢山作ってたくさんの方に使っていただきたいと思っています。
木製の機でひとつひとつ作っているので、そんなにたくさんは作れないのですが…。