今朝、何気なく朝の情報番組、NHKの「あさイチ」を見ていたら気になる話題が。
今日のテーマは、「視聴者の方の気になること」調査するというものでした。ある視聴者の方が、よく行くお店でウール100%のものが買えなくなってることに気づいたというのです。その方は、ウール100%の服の着心地が好きで、服を選ぶ時にウール100%のものを探して購入しているのですが、よく行くお店で売られているものの中に、最近ではウール100%のものが見当たらなくなったらしいのです。(あさイチに関する内容はテレビを見ていて急ぎメモしたものから書き起こしています。正確なところはぜひNHKのあさイチHP「いま気になる!を調べてみました。」 – あさイチ – NHKなどでご確認ください。)
ウール100%の服が少なくなったのはなぜか、という疑問を受けて番組が調査したところ、羊毛の世界的な生産地オーストラリアでは化学繊維におされて価格が低下したため、この30年で生産量が1/3に。しかし近年価格は上昇。以前に比べると3倍にもなるそうです。
なぜ価格が上昇しているかというと、ウールの世界一の輸入国である中国で内需が拡大しており、今後も需要が回復していくことが予想されることと、昨今のSDGsによって羊毛などの天然繊維は環境負荷が低いのではということで人気が高まっていることなどが理由のようです。
世界的な供給量の不足と原料の価格の上昇で、ウールは今後ますます手に入りにくくなることが予想されます。大手のファッションメーカーでは数年分のウールをまとめて購入、ストックしてあるため、影響が出て来るのは少し先になるようですが、取材先の、制服の生地を製造しているメーカーさんなどはもうすでに影響を受けていらっしゃるようです。近い将来、ウール100%はぜいたく品になってしまうかもしれません。
確かに、ここ何年か、服を買いに行くときにウール100%の服が少なくなっているのを感じていました。しかし、近年は化学繊維が良くなっているので、機能的な面からもその方がよいということがあるのかな、などど考えていました。そんな手に入りにくい状況になっているとはつゆ知らず…。
番組では、結論としてはとにかく今あるものを大切に使うしかないという感じでした。
ウール100%の服が手に入りにくくなるだけで、服がなくなるわけではないから、あまり気にならないという方も多いかもしれません。私もご意見を寄せられた視聴者の方と同じでウールが好きで、服もウール100%を選んだりしていたので、思わずこの話題に反応してしまったのでした。
衣替えをしていて、10年以上使っているなというセーターやマフラーはウール100%だったりします。肌触りや使い心地がよいことはもちろん長持ちするので、大切に使い続けることができます。
また、ウールは色がきれいに染まるので、草木染をする人にとっては楽しい素材です。
ハンサムなマフラーの店では、ウールのマフラーを製作販売しています。母が草木染めを始めてから30年以上、長く作り続けています。たぶん、私が子どもの頃に最初に織ったものもウールのマフラーでした。寒い季節には実際にしっかりと暖かいだけでなく、見た目もほっこりと暖かく感じるのはウールのマフラーならでは。長年親しんできた素材ですし、今もマフラーをネットショップで販売中なので、これは身近な問題だと感じました。
最近の化学繊維は優秀なのでそんなこともないかもしれないのですが、ワンシーズン着るとモケモケになってしまうものが多かった印象の化学繊維に比べて、大事に使えば10年以上長く使えるのもウールの魅力的なところです。結局、ウールの使い心地や質感などが好きだということに尽きるのですが、今後使えなくなっていくかもしれないと思うと、なかなかのショックです。
母と話していると、「この糸はもう手に入らないの。」とか「よくこの糸を買っていた糸屋さんがなくなっちゃって。」などという話はよく出てきます。生産者さんをたどっても見つからないこともあり、使い心地がよい好きな素材であればあるほど寂しく、残念な気持ちになります。それは、材料だけでなく、道具でも、藍染などの職人さんでも同じことを見聞きします。
時代の流れと言えばそれまでなのですが、好きなもの、素敵なものが消えてしまってり、遠くに行ってしまうのは寂しいものです。需要と供給とか経済的な理由と連動しているわけなので、仕事として成り立つということがいかに大切か。
朝からいろいろと思うところの多い話題だったので、紹介させていただきました。
参照:「いま気になる!を調べてみました。」 – あさイチ – NHK